元彼や出会い系で知り合った人に、裸の画像や性行為をしている動画をネットの掲示板やサイトにばらまくぞと脅迫され、お金を要求されたり、交際やセックスを強要されたりするという被害は後を絶ちません。

まずは、そもそも、裸や性行為の写真や動画がどのような経緯で脅迫の加害者の手に渡ってしまうのか、問題点に加え、その対策法についても解説します。

恥ずかしい写真はこうやって脅迫者の手に渡る

裸の写真や動画をネタに脅迫する場合、加害者はどういった経路で画像を入手するのでしょうか。

性行為の時に写真や動画を撮影される

ケースとして多いのは、交際中の彼氏が相手の裸の画像や性行為中の動画を撮影しているパターンです。撮影されていることに気がついて、やめてほしいと伝えることもありますが、「悪用しないからいいだろう」とやめてくれないケースもあります。

また、撮影していいかを聞かれて断りきれずに承諾してしまうケースも少なくありません。彼氏が相手ではなく、単なる遊び相手や不倫相手からこういった撮影をされることもあります。

最近では、出会い系サイトやツーショットダイヤル、SNSやLINE、掲示板などのネットを通じて知り合った人と安易に性行為に及んでしまい、隠し撮りされたり、しつこい誘いに根負けして撮影させてしまった写真で脅迫の被害に遭うケースが増えています。

裸の写真を送るよう言われ、自分で撮影してデータを渡す

交際相手や遊び相手から、裸の写真が欲しいと言われ、自分で自分の裸の写真を撮影してそれをLINEなどで送るケースもあります。出会い系サイトなどで知り合ってLINEやメールのやりとりをしてはいるものの、実際に会ったことがない相手に対して裸の画像を送ってしまうケースもあります。

出会い系サイトなど、性行為をする相手を求めるために男女が出会うようなところでは、刺激を楽しむために裸の画像を送り合うことは少なくありません。また、被害者を安心させるために、いきなり一方的に「画像を送って」とは言ってこずに、まず自分の裸の写真を被害者に送り、「あなたも送って」と要求してくることもあります。

参考:出会い系での脅迫・恐喝被害の中で特に頻発する6事例をまとめました

セクストーション       

セクストーションとは、「セックス」と「エクストーション」の造語です。エクストーションとは、ゆすりや強要、強奪などを意味します。LINEなどのSNSで知り合ってやりとりを重ね、仲良くなった相手から、ある日、「裸の写真を送り合いましょう」などと持ちかけられます。

相手から送られてきたURLをクリックするとウイルスに感染し、スマホやパソコンのデータを不正に抜き取られ、「このデータを友達にばらまくぞ」「会社に送るぞ」などといってそれをネタに脅迫されるというのが典型的なセクストーションの被害事例です。

また、「このアプリを使ったらもっとエッチなことができる」などとアプリのダウンロードを勧められ、不正アプリをダウンロードさせられて、そこから被害にあうというケースもあります。

セクストーションの被害に遭ってしまうと、スマホの中に保存していた電話帳の情報や画像データなど、重要なパーソナルデータの多くが盗まれてしまいます。画像データの中に裸の画像などの「恥ずかしい画像」が保存されていれば、それをネタに脅されることもあります。

なぜ脅迫のネタとなるような写真を相手に渡してしまうのか

相手の本性を見抜けず、信用してしまう

よくある相談例としては、別れを切り出した彼女に対し別れたくない彼氏が、別れるなら性行為の際に撮影した写真をネットにばらまくぞと脅して交際の継続を強要したり、或いは、よりを戻したくてこのような手段をとってくることがあります。まさかこんな卑劣なことをしてくる人だとは思わずに付き合っていたと被害女性は皆口にします。

女性は特に、恋愛感情を持った相手に対しては冷静な判断ができなくなり、「いい人に違いない」「裸の写真を悪用するわけがない」と、自分に言い聞かせてしまうこともよくあります。相手の本性を見抜けずに信用してしまい、裸の画像を送ったり撮らせたりすることに抵抗がなくなってしまうのが問題点と言えるでしょう。

嫌われたくない一心で

交際相手や不倫相手に「裸の画像を送ってほしい」と言われたり、性行為中の動画を撮影したいと頼まれたとき、本当は嫌だと思っても、「断ると相手から嫌われてしまうのではないか」と恐怖心を抱いて断りきれず、被害に遭う人はとても多いものです。

DVなどの被害でも言えることですが、相手に理不尽なことをされたとき、被害者の多くは「自分さえ我慢すればおさまるのではないか」と思って耐えたり、「おかしいと感じる自分がおかしいのではないか」と、自分に非があるのではないかという発想に至る人は、実は少なくありません。

危機意識が低い

裸の画像をネタに脅迫される被害は、10代や20代の女性にも多発しています。交際経験や社会経験があまりないこの年代の女性には、裸の画像を撮られたことでどんなリスクがあるのか、その具体的な危険性を理解していない人も少なくありません。「裸の画像をどんなことに使うんだろう」と疑問には思っても、まさか自分がそれをネタに脅迫されるとはゆめにも思っていないという人も多いのです。

ですが、好きな人や親しい人に対しては、どうしても信用したいという気持ちが起きるのは当然のこと。こういった危機意識の低さも問題点のひとつとはいえ、そこだけを責めることはできないでしょう。

復讐を目的として写真をばらまくリベンジポルノ

裸の画像をネタにお金を要求したり、交際や性行為を要求してきたりといった脅迫事例とは性質が違いますが、裸の画像をネタに脅してくる事例のひとつとして「リベンジポルノ」があげられます。

リベンジポルノとは

リベンジポルノとは、元交際相手や元配偶者が、被害者との関係が悪化したことを恨みに思い、交際中に撮影していた被害者の裸の画像や性行為中の動画をネットにばらまいたり、メールにファイル添付をして被害者の友人や会社などに送りつけたりするトラブルです。

リベンジポルノの問題点

リベンジポルノの多くは、裸の画像をネタに交際を要求する、金銭を要求するという「ネタに脅す」「何かを得ようとする」ということが目的なのではなく、自分を振った元恋人や元配偶者への復讐が目的です。

そのため、すでに画像がネットなどに流出してから被害者がそれに気づくことが多く、被害を未然に防止することが難しいという問題があります。また、交際しているときは関係も良好のため、「裸の画像がほしい」と言われてもより断りにくい、悪用されることを想定しづらいという問題点もあります。

恥ずかしい写真で脅迫された時に適用される法律

裸の写真や性行為中の動画をネタに揺すられた場合や、リベンジポルノの被害にあったとき、一番に考えるのは警察への相談ではないでしょうか。警察には、一般的な相談窓口で相談してアドバイスを受けることもできますが、被害届や告訴状を提出することで、加害者への直接な対応を求めることもできます。

ただ、警察に実際に動いてもらうためには、被害を受けている行為が法律で規定された犯罪にあたる悪質なものである必要があります。ここでは、裸の写真をネタに脅迫されたときに、どんな法律が適用されどのような犯罪ににあたるのかについて解説します。

刑法の脅迫罪・恐喝罪

もっとも考えられるのが、脅迫罪・恐喝罪です。両罪はともに刑法という法律にその定めがあります。違いを簡単に説明すると、脅迫罪は「自分や家族に対して、生命や財産などに関する害悪を告知される」犯罪です。

脅迫罪では、実際に恐怖心を抱いて相手にお金を渡したり、言われるままに交際を続けたりといった結果がなくても成立する犯罪です。一方で、恐喝罪は「相手を脅してお金などの財物を出させる」犯罪です。

このふたつの犯罪の詳しい違いについては、「法律が苦手な人のために脅迫罪・恐喝罪を弁護士がわかりやすく解説」恐喝や脅迫を警察に相談してしっかり対処してもらうための情報まとめ」を参考にしてください。また、脅されて裸の写真を撮られたというときにも、これらの犯罪が成立することがあります。

刑法の強要罪や強制性交罪

裸の写真をネタにして、セックスや交際の継続などを要求してくることもあります。この場合は、脅迫罪や恐喝罪のほかに以下の犯罪が成立する可能性があります。

強要罪とは、脅して人に義務のないことを行わせる犯罪です。交際は、本人の自由意思で行うものであり、強要されてするものではありません。脅されて交際を強要させられた場合には、強要罪が成立する可能性があります。

強姦罪は、裸や性行為の写真や動画をばら撒かれたくなければセックスに応じろなどと脅迫して性行為を強要する犯罪です。2017年に名前を変え、強制性交罪という罪名になりました。それとともに構成要件の内容なども変更が加えられ、犯罪となる行為の対象が広がっています。

リベンジポルノ防止法違反

相手に対する復讐目的で裸の画像や動画をネットなどにばらまく「リベンジポルノ」ですが、リベンジポルノ2014年に成立した「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(通称:リベンジポルノ防止法)」によって法規制がなされています。

この法律では、撮影された裸や性行為中などの画像(私事性的動画記録と定義されています)を不特定多数のものに提供した場合、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されることが規定されています。

ストーカー規正法違反

リベンジポルノに加えて、被害者につきまとったり、執拗にメールや電話で連絡を取ろうとするなどの行為がある場合は、ストーカー規制法違反に当たる可能性があります。

参考サイト:ストーカー規制法は何を規制している?対象となる行為や中身をわかりやすく解説

補足:無断で写真を撮影されたら犯罪にならないのか

写真をネタに脅されるとき、その写真は「裸の写真を送って」と言われて自主的に加害者に渡したものもあれば、知らない間に勝手に撮影されていたということもあるでしょう。勝手に撮影された写真や動画は盗撮として、何かの犯罪に該当しないのでしょうか?

性行為や裸のところを無断で撮影されたとき、強い不快感を覚えるのは当然のことです。こういった行為は、各都道府県の迷惑防止条例や軽犯罪法に違反する可能性があります。しかし、迷惑防止条例では「公共の場で」と条件を設けている自治体が多いため、個室での盗撮は該当しません。

また、軽犯罪法に関してはこのような公共の場という要件はありません。盗撮することが「正当な理由がなく」「のぞき見た」(軽犯罪法23条)に当たるとして軽犯罪法23条に違反する可能性は高いと言えそうですが、盗撮した当時は交際していたことなどを踏まえると、実際の判断は難しいところといえます。

写真をネタに脅迫された時の対策法

ここでは、裸の写真や動画をネタに脅されたときの対処法について触れていきます。詳しくは別の記事で解説しているものについては、リンクを参照してください。

ネット上に画像が流されてしまったら

リベンジポルノのように、裸の写真などが2ちゃんねるなどの掲示板やブログ、SNSなどに流されてしまってから、被害に気がつくケースもあります。また、ネットに写真などを流した上で脅迫してくるようなケースもあるかもしれません。

このような場合、対処法として重要なのは、ネットに出回っている情報を削除することになります。ネットに出回った情報を削除するための方法は、それぞれのブログやSNSによって異なります。

参考サイト:リベンジポルノの被害にあった時の3つの対策法と4つの相談先

被害届を出して警察に相談

脅しの行為が悪質で犯罪に該当する可能性が高い場合、被害が大きく、すぐにでも対応が必要な場合などには、警察に被害届を出すなどの対策が必要です。警察では、インターネット犯罪に対応するために、サイバー犯罪相談窓口を設けています。

被害を受けたとき、それが犯罪と呼べるほどのものなのかがわからないような場合でも、まずは警察に相談することで、対処法などのアドバイスをもらえます。警察への相談については、「」の記事を参照してください。また、被害届の書き方についても「恐喝・脅迫の被害届の出し方や書き方を初心者向けにわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

参考リンク:都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧

事前に知っておきたい予防法

事後的な対策も必要ですが、同時に、これ以上同じ被害に遭わないための予防的な対策も知っておくと安心です。一般的な対処法とはなりますが、なによりも「写真を撮らせない」ことが重要です。

頼まれても裸の写真を送らないのはもちろんのこと、撮影したものをスマホやパソコンに保存しておくことも避けましょう。不正なアプリをダウンロードしたり、メールなどに添付されたリンクを踏まないことも重要です。

交際相手の頼みごとはなかなか断ることが難しいものですし、良好な関係にある人に対しては、できれば信頼したいという意識が働くものです。しかし、他人を信頼することと自分の危機管理を甘くすることとはまた別だと考えておくことも大切です。