不倫カップルがバーで肩を寄せ合っている

不倫相手との関係が拗れたり、相手の配偶者にばれてしまったときなどに、脅迫めいた言動で金銭要求をされたり、交際の継続などを強要されるといった被害相談が日々多く寄せられています。

そこでここでは、不倫で脅迫された時の状況に応じた対処法を弁護士が解説していきます。

不倫で金銭を要求される脅迫への対処法

慰謝料や口止め料を要求されるケース

社内不倫、W不倫の関係が拗れたり、関係解消を申し出たところ、相手から慰謝料や口止め料を要求されることがあります。また、不倫相手の配偶者から慰謝料請求されることもあるでしょう。

支払わなければ会社や家族にばらすと脅されたときにどう対処すればよいのでしょうか。

支払義務はあるか

まず不倫相手との関係においてはお互い同意のもとで男女関係にあったことから慰謝料の支払義務はありません。ただし、「妻とは必ず別れるから待って欲しい」など虚偽の発言で相手を引きとめていたのであれば、不倫相手を弄んだと看做され、貞操侵害を理由として慰謝料の支払義務が生じる可能性はあります。

不倫相手の配偶者への支払義務

不倫相手の配偶者(夫や妻)に浮気の事実がばれてしまった場合、その配偶者は不貞による精神的苦痛を理由として慰謝料請求することが可能です。つまり支払義務はあります。

親に請求してくることも

不倫相手の配偶者からの請求を拒否すると、両親に対して子供が負担すべき慰謝料を肩代わりするように求めてくることがあります。

両親に対して「おたくの子供のせいで夫婦関係が修復不可能になった。お子さんの人生が滅茶苦茶にならないよう慰謝料を肩代わりしたほうがいいよ」などと親心に漬け込むように脅してくるケースです。

しかし、子供が起こした問題で親が代わりに損害賠償責任を負う(民法714条)のは、子供の年齢がおおむね11~12歳までと裁判所は判断しています。12歳以下が不倫をするとは考えられませんので、その親が監督責任を負って賠償義務が生じるということは有り得ないでしょう。

口止め料の要求は犯罪

しかし、慰謝料や手切れ金の支払いを拒むと、「払わないならあなたの職場や妻(または夫)に不倫の事実を言いつけてやる」と脅迫してくることがあります。いわば口止め料の要求です。

これは、脅して金銭要求しているため恐喝罪が成立する可能性があります。もし実際に職場にばらせば民事・刑事において名誉毀損が成立することもあります。

参考:「不倫を会社にばらす」は脅迫罪。会社にばれないための最善の対処法

警察に逮捕してもらうことのリスク

仮に相手の行為が犯罪であったとしても、男女トラブルの延長線上の問題として被害届が受理されないことも多々あります。

もし不倫相手を警察に逮捕してもらうことができたとしても、社内不倫であれば会社の知れるところになりますし、不倫相手の配偶者に知れて慰謝料請求されることもあります。W不倫であれば報復行為としてご自身の配偶者に全てをばらされることもあるでしょう。

安易に要求に応じない

しかし、大事にしたくないといった気持ちからあっさりと金銭を手渡してしまう人がいますがこれはリスクが高すぎます。

一旦状況が改善されたように思えても、「脅せばお金が取れる人」とレッテルを貼られてしまえば逆効果となり、後日改めて執拗に要求されることも少なくありません。

示談書を交わせば安心か

再度の要求をされないために、相手にお金を支払う代わりに示談書(念書や覚書といった名前でも効果は同じです)を交わせば安心できるようにも思えます。

示談書には一般的に、「会社や配偶者には不倫の事実をばらさない」といった秘密保持義務条項や、今後は互いに一切連絡をとらないといった約束事についての条項を盛り込み、約束を反故にした時の違約金についても規定します。

違約金を支払いたくないからもう脅してくることはないだろう。そう考えて安心していたところ、様々な理由をつけて新たに金銭要求されるケースが数多く相談されています。

脅迫の加害者からしてみれば、示談書を交わそうが脅しのネタは手中に収めています。

実際に、「不倫問題を大きくしたくないから金銭要求に応じた」わけですから、また脅せばお金が取れると算段して繰り返しの恐喝行為に及んでくる可能性もあるのです。

まずは交渉ありき

示談書や念書を持参して、それに相手が署名捺印すれば相手の請求する慰謝料や手切れ金を支払う。この一連の単純な流れが示談書の内容を反故にした新たな恐喝行為につながります。

まずは相手の脅迫言動を録音するなどして証拠を揃え、こちらも反撃材料があることを示しながら、示談書面に盛り込む内容や支払額について徹底交渉する”姿勢”が重要です。

これ以上、不倫をネタに脅しても要求に応じないであろうと相手に認識させることが再発防止の効果的な予防になるのです。

交渉は弁護士に任せる

弁護士は交渉金額に制限なく代理人として相手と交渉ができる唯一の資格保持者です。

不倫で脅迫をしてきている相手方と金銭交渉をし(もちろん0円回答もあります)、不備のない示談書を作成し、被害者本人の代わりに示談を交わすこともできます。

依頼者はなにもせずに全てを一任できます。

また、弁護士は代理人として犯罪行為の告訴状を警察・検察の捜査機関に提出することもできます。

ですので、相手方が今後1度でも脅迫や嫌がらせ、接触行為を行った場合は刑事事件として責任追及する旨の警告を与えて有利に交渉を運ぶことができます。

中絶費用と慰謝料を請求されるケース

不倫相手の女性を妊娠させてしまい、中絶(堕胎)費用や、手術による心身の傷に対する慰謝料などを請求されるといったこともよくあるケースです。特に慰謝料については高額な要求をされることが多く、拒否すると会社や家族に不倫をばらすと脅迫される事態へと発展します。

支払義務はあるか

同意の上での性行為で女性を妊娠させた場合であれば、中絶費用や診察代などの病院費用の半額を支払えば良いというのが法律上は一般的です。

慰謝料については原則認められませんが、女性の意に反して避妊具を途中で意図的に外すなど、男性側に重大な落ち度があった場合は認められる可能性もあります。

早期の示談が必要

不倫相手との妊娠トラブルが長引いて日数が経過すると、中絶費用が多額になるほか、最悪のケースでは中絶可能期間が過ぎてしまうこともあります。

たとえ女性に脅迫めいた言動があったにせよ問題を長引かせるのは得策ではありません。早期に示談をまとめる必要があります。

診断書の提示を求めることは自分で行わない

中絶前・後に関わらず、不倫相手の女性に自分の口から診断書を求めることは避けたほうが良いでしょう。

妊娠や中絶で精神的肉体的に負担を被る女性に対し、「診断書を見せてくれ」と発言することにより、女性は妊娠を疑われたと考えます。

女性の感情を逆撫でしたことを期に脅迫行為に発展してしまうパターンも少なくないため、妊娠を疑ってかかるような言動は控えなくてはなりません。

女性の負担も考慮した弁護士による交渉

不倫の当事者である男性から診断書の提出を求めると上記のように女性の感情を荒げて事態の悪化を招く可能性もありますが、弁護士であれば問題となりません。

なぜなら弁護士は、中絶費用や慰謝料の支払いについて”仕事として”依頼者を代理しているので、前提として妊娠の事実を確認するのは当然の行為だからです。

なお、法律上は中絶費用の半額を支払えば良いと考えられていますが、心身ともに傷つくのは女性です。弁護士は女性側の負担を考慮して、事態を穏便に済ませるために病院代の全額、そのほか状況に応じてお見舞金や解決金名目で男性に支払いを促す可能性があることも念頭に入れておきましょう。

不倫相手が関係継続や嫌がらせ目的で脅迫してくる場合の対処法

不倫をした相手や、相手の配偶者から脅されるのはなにも金銭要求だけに留まりません。交際関係を継続したい、あるいは、嫌がらせを目的として脅迫してくることもあるのです。

では、このようなケースでは具体的にどのような対応をとるべきなのでしょうか。

社内不倫で退職要求されるケース

社内不倫の相手との関係が拗れてしまった場合に、「別れて欲しいなら会社をやめて」「辞めないなら職場の人に私たちの関係をばらす」と脅されることもあります。

その他、不倫相手の配偶者から退職要求されることもあります。自分のパートナーが浮気した相手と同じ職場で働き続けるのは常に不安がつきまとうことですので不自然な要求ではありません。

会社を辞めないなら不倫の事実を会社にばらすという台詞は脅迫罪、そして実際にばらせば名誉毀損罪が成立する可能性があります。

また、脅して退職要求することは刑法の強要罪が成立する可能性があります。

しかしこういったケースは男女トラブルの延長線上として警察も事件として取り扱ってくれることは少ないのが現状です。

また、仮に逮捕に踏み切ってくれたとしても、捜査機関が介入する以上は当然ながら会社に知れてしまいます。

社内不倫だけを理由に解雇できないというのが基本的な判例の見解ですが、社内での立場はなくなり出世も見込めなくなるでしょう。

また、もし相手が既婚者だった場合には、逮捕の事実は相手の配偶者にも知れることになりますので、逆に不貞の慰謝料を請求されることも考えられます。

そこでこのようなケースでは、脅迫してきている不倫相手と示談書や念書を交わした上で手切れ金を支払って解決を図る方法が一般的です。

交際の継続を要求される

不倫関係を解消させたいと思って距離を置こうとしても、相手がストーカー化してつきまといの被害を受ける事案も増加しています。

職場や自宅付近で待ち伏せしたり、「交際を続けないなら会社や奥さん(夫)に不倫をばらす」と執拗に脅迫電話やメールを送りつけてくるケースが目立ちます。

参考:脅迫電話への効果的な3つの対応方法と録音に関する重要ポイントとは

参考サイト:ストーカー被害に遭ったら必ずすべき8つの対策としてはならないこと

配偶者との離婚を要求

相手に対する執着心が強いため、相手の配偶者に自分から不倫の事実をバラし相手の夫婦関係を破綻させるという強硬手段にでられる場合があります。

さらには、離婚して私と一緒になってくれないなら自殺する、家族に危害を加えてやるといった脅迫めいた言動でヒステリックに騒ぎ出すこともあります。

性行為の動画などをばら撒くと言われる

期待に応えようと不倫相手の男性から要求されるがままに性行為の動画撮影に応じてしまったり、裸の写真をメールやLINEで送ってしまう女性も少なからずいます。

そして、不倫解消のために別れを切り出す段階になると、
「お前の夫に動画や写真を送りつけてやる」
「ネットの掲示板や職場にばら撒いてやる」
といった台詞で脅迫してくることもあります。

実際に、復讐目的で性的動画や画像をネットなどにばらまくリベンジポルノに発展することもあります。

参考:裸の写真をばらまくぞと脅迫された人が知っておくべき法律と対処法

参考サイト:リベンジポルノの被害にあった時の3つの対策法と4つの相談先

不倫で脅迫されたときの対処法

不倫をばらすなどと脅迫してくる者の要求を1度でも飲めば、相手のペースに巻き込まれて延々と従わざるを得ない羽目に陥ります。

しかし逆に、無視・拒絶をしてしまうと、侮辱された・反省の意思がないなどと不倫相手が受け止めてしまい、後先考えずに周囲を巻き込んでの騒動に発展することになりかねません。

では、無視することも相手の要求に従うことも得策ではないとすれば、現状から脱するためにはどのように対処すべきでしょうか。

1.示談書を用意して相手に署名させる

示談とは、将来に渡って争いごとをやめることを約束することです。

約束を破った場合の違約金を示談書に盛り込んでおくことで、争いごとが再発しないよう抑止力として働きます。

不倫トラブルにあてはめると、手切れ金(または解決金という名目)を一方が支払い、互いに相手方やその家族・勤務先などに連絡や接触をしない。もし約束を破った場合は相手に違約金として○○万円支払う。といった内容を書いた書面に両者とも署名捺印することで示談が成立します。

自分で解決させる場合は無料テンプレートで充分

取り交わす示談書はインターネットで手に入る無料のテンプレートの使用で充分です。

具体的には以下のサイトの示談書サンプルを自分のケースに当てはめて少しだけ手直しすれば問題ないでしょう。

参考サイト:交際解消の示談書サンプル

  • 誓約事項に書かれている接触・連絡の禁止と秘密保持
  • 違約金の定め
  • 清算条項(示談書記載の和解金以外には一切債権債務関係が存在しないことを確認するもの)

この3点を書き漏らさなければ心配は不要ですが、どうしても不安な方は、行政書士に依頼して作成しても良いでしょう。相場は1通で10,000円~15,000円前後となります。

結構安いなと感じられた方もいると思いますが、理由としては以下の2点です。

  • 不倫関係解消の示談書は記載内容がほぼ決まっており、フォーマットに少し手を加えれば良いので手間がかからない
  • 行政書士は争いの相手方との話し合い、法律交渉、訴訟業務等が法律上一切できないので、あくまでも書面の代筆である

現在では、インターネット上には示談書の無料テンプレートが数多く出回っていますので、有料の意義は薄れているといっていいでしょう。

示談を提案してはいけないケース

①不倫相手がまだ自分に好意を寄せている
②もしくは逆に、憎しみの感情が表れている

このような状況では、ご自身から示談の提案をすることは避けたほうがいいでしょう。

「弄ばれた挙句にお金を渡すから関係を解消しろとは赦せない」
「私との関係は所詮お金で方がつく程度のものだったのか」
「お金で何事も無かったことにして自分だけ家庭に帰って幸せになるなんて絶対にさせない」

このように不倫相手の感情を逆撫でしてしまうことで、示談はおろか、ご自身が守りたかった名誉や家族、社会的立場などを失う行為をされかねません。

自分から示談の提案をしていいのは、あくまでも相手方が恋愛感情を引きずっていない状況で、相手方も金銭での解決を望んでいると思われる場合に限ったほうがいいでしょう。

2.警察に逮捕してもらう

不倫相手から、あなたやあなたの家族の生命や身体に危害を加えるような発言があった場合にはどうすべきか。

このようなケースでは、単なる金銭目的ではなく、恋愛感情が満たされないことによる憎悪の念が生じています。逆恨みされて事件沙汰にまで発展することが少なくないことはマスコミ報道などから皆さんご存知のことでしょう。

かつては、不倫関係のもつれといった男女トラブルに警察が積極的に介入することは稀でしたが、殺人事件などの凶悪犯罪にまでエスカレートするケースが増加傾向にあることから、被害者及びその家族の身に危険が迫っていると判断できる事案については積極的に逮捕してくれるようになりました。

命の危険を感じるまで切迫した状況にある場合は、迷わずに警察署に駆け込み被害届を出すようにしてください。

参考:恐喝や脅迫を警察に相談してしっかり対処してもらうための情報まとめ

参考:恐喝・脅迫の被害届の出し方や書き方を初心者向けにわかりやすく解説

警察に逮捕してもらうことのデメリットも知っておこう

警察に不倫相手が身柄拘束されれば、被害者は現状から解放されることになります。

しかし、例えば社内不倫やW不倫であった場合、相手が逮捕されれば、職場や相手の配偶者にもその事実が知れてしまいます。

また、警察が被害届を受理して捜査を開始すると、被害者が”被害を受けた場所”に現場検証として写真を撮りにきます。

例えば、「不倫をばらされたくなければお金を払え」とメールを送られた場合、そのメールを受信した場所が自宅であった時は、警察は自宅に来て現場検証を行います。

被害者が既婚者であれば、自宅に警察が来て妻(夫)や子供の前で現場検証が始まれば、不倫の事実を告白せざるを得ない状況になることでしょう。

先に述べた通り、自分や家族の身に危険が切迫している場合はすぐさま警察に駆け込んで被害届を受理してもらう必要がありますが、そうでない状況下においてはデメリットを考慮して対策を考えなくてはなりません。

弁護士が対処することで得られる効果

①弁護士を飛び越えて依頼者に連絡しないよう警告できる

不倫相手から脅迫被害を受けている人が弁護士に依頼すると、弁護士はまずは相手に、依頼者に直接連絡することを禁ずるよう警告を出せます。

代理人を飛び越えて依頼者に連絡をすることは、代理人である弁護士の業務妨害にあたると主張することができるのです。

②相手が法を犯しているという事実を認識させる