ストーカーと脅迫の違いと共通点。両方当てはまる時の2つの対処法

ストーカーから脅迫されたら、ストーカー規正法と脅迫罪、どちらが適用されるのか。

被害者にしてみれば、「どちらでもいい!とにかく被害を何とかして欲しい!」そう思うことでしょう。しかし、どちらの法律を適用するかによって、被害者にとっても加害者にとっても大きく異なる結果となります

そこでここでは、ストーカーと脅迫の共通点や違い、対処法について弁護士がわかりやすく解説していきたいと思います。

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ストーカーと脅迫の共通点

時効

刑事事件の時効は公訴時効(検察官が起訴する権限がなくなる時効)といいます。

脅迫罪の公訴時効は、犯罪が終了してから3年ですが、ストーカー規制法でも同様に3年となっています(刑事訴訟法250条2項6号)。

また、被害者が加害者に慰謝料などの損害賠償請求する時の民事の時効についても、脅迫・ストーカー共に、「損害の発生と加害者が誰かを知った時から3年(民法724条)」となっています。

非親告罪

非親告罪とは、被害者が刑事告訴しなくても検察官が起訴できる犯罪のことです。

刑事告訴とは、被害者が告訴状を警察(または検察)に提出し、加害者を処罰してほしいと願い出る手続きです。

脅迫罪、ストーカー規制法ともに、非親告罪です。そのため、たとえ被害者が、相手の刑事処罰を望んでいなくても警察は逮捕でき、検察は起訴して刑事裁判にすることも可能となります。

かつては、ストーカー規制法は親告罪(被害者が刑事告訴しないと検察が起訴できない犯罪)でしたが、ストーカー犯罪の凶悪化や、被害者が報復を怖れて刑事告訴を避けてしまうことから、平成29年1月より非親告罪へと改正されています。

ストーカーと脅迫の違いは?

刑罰の重さ

ストーカー規制法に違反すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金となり、行為の悪質度によってはさらに刑罰が重くはなりますが、それでも1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

それに比べて脅迫罪の場合は『2年以下の懲役又は30万円以下の罰金』となっており、懲役の年数でいえば脅迫罪の方が重いのです。

両方の法律が適用可能な事案で、被害者が加害者により重い刑罰を受けてもらいたいと考えるのであれば脅迫被害で被害届や告訴状を警察に出すことを選択することになります。

目的

ストーカー規制法では、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」をもってつきまとい行為をした場合には同法が適用されるとしています。

一方で脅迫罪にはそういった恋愛感情は求められません。相手を怖がらせようという故意があればよいとされています。

反復性

ストーカーの行為と言えるかどうかには「反復性」が求められます。すなわち、一度だけつきまとった・一度だけ待ち伏せたというだけではストーカー行為にはならず、何度も行ったかどうかが判断の基準の一つになるのです。

これに対して、脅迫罪は一度脅迫しただけで犯罪が成立します。この点も大きく異なるところです。

たとえば、「あなたの恥ずかしい写真をネットにアップロードする」と相手が1回だけ伝えてきた場合、反復性がないためストーカー行為として規制はできません。しかし、名誉を害する告知として脅迫行為には該当します。

行為

脅迫罪は、相手または相手の親族に対して、生命・身体・自由・名誉・財産を害することを告知すれば成立します。

それに対して、ストーカー規正法違反となるのは”つきまとい行為等”を反復して行ったときです。”つきまとい行為等”とは以下の8つに分類されます。

  • ①自宅や勤務先、学校などの周辺で待ち伏せしたり、押しかけてきたり、尾行してつきまとうこと
  • ②相手の服装や外出時の行動等を知っていると伝えてくるなど、監視していることを告げてくること
  • ③会ったり、交際することを強要してきたり、相手に義務がないことを行わせること
  • ④怒鳴りつける、家や職場の前で大声で叫ぶなど、乱暴な言動をすること
  • ⑤無言電話や、相手が拒否しているのに何度も電話やFAX、メールを送りつけること
  • ⑥糞尿、犬猫の死骸など、汚物や動物の死体等を送りつけること
  • ⑦相手の恥ずかしい写真や個人的な秘密をネットに書き込むと伝えるなど、相手の名誉を傷つけることを告知すること
  • ⑧使用済み避妊具、精液が付着したティッシュ、わいせつ写真など、相手の性的羞恥心を害する物などを送付すること

なお、①~④までの行為については、「社会一般的にみて、生命や身体、住居等の平穏や名誉、行動の自由が著しく害されるのではと相手が不安を覚える方法」で行われることが要件となっています。

ストーカーにも脅迫にもなる事例は?

性行為の画像や動画を拡散すると脅される

例えば、元カレから復縁を迫られた女性がそれを拒否すると、「ムカつくから交際時に性行為を撮影した写真や動画をネットにばらまく」と脅迫されることがあります。

こういった画像や動画が大勢の人の目に触れれば女性の名誉が害されますので、名誉に対する害悪の告知として脅迫罪に該当します。

と同時に、「拡散はやめてほしい」と伝えたにもかかわらず繰り返し脅してくる場合は、つきまとい行為の1つである「その名誉を害する事項を告げ」に該当するためストーカー規制法違反となります。

なお、実際にネット等に流出させられた場合は、名誉棄損罪が成立します。

脅して交際の継続を迫られる

例えば、不倫相手の女性に別れを切り出したところ、「私と別れるならアナタの奥さんと子供を殺して私も死ぬ」と脅してくることがあります。

本人だけでなく、親族の生命に対する害悪の告知についても脅迫罪が成立します。

また、繰り返しこの言動が行われる場合は、つきまとい行為の1つである「交際その他の義務のないことを行うことを要求すること」に該当し、ストーカー規制法違反となります。

なお、恐怖心から仕方なく交際関係の継続に至った場合には、強要罪が成立します。

交際を断ったところ暴力的な素振りをされる

例えば、交際を申し込まれたが断ったところ、こぶしを振り上げて殴る素振りをされるといった被害にあうこともあります。

これは、身体に対する害悪の告知となるため脅迫罪が成立します。

また、この行為が何度か行われると、「著しく粗野又は乱暴な言動をすること」に該当し、ストーカー規制法の対象となります。

なお、実際に暴力を振るえば、暴行罪や傷害罪(怪我をした場合)が成立します。

ストーカーに脅迫された時の対処法は?

最初は恋人や友人としていい関係を築いていたのに、感情のもつれから相手がストーカーしてしまうことは残念ながら少なくありません。単なるつきまといだけではなく、「殺す」などと脅迫してくるストーカーもいるのです。

では、単なるつきまとい行為を越えて脅迫されているとき、どのように対処すべきでしょうか。

命や身体に危険を感じたら警察へ

ストーカーに対しては、まずは「警告(いわゆる注意)」を与えるのが一般的ですが、被害者の身体や生活の平穏に危険が迫っているケースでは、警告なしに「禁止命令(被害者に近づいたり連絡しないように命令すること)」を出すことができます。禁止命令に背いた場合には、逮捕されることもあります。

しかし、脅迫というのは、尾行や待ち伏せ、監視といった行動から、”相手に危害を加える”方向に一歩進んだ行動です”。近年、マスコミでも報道されているように、ストーカーから凶悪犯罪に繋がるケースも少なくありません。

脅迫の内容が、命や身体に危害を加えるようなものであれば、警告や禁止命令で相手の様子をみる余裕などありません。脅迫罪で被害届・告訴状を提出し早急に逮捕してもらうのが得策です。

穏便に解決するなら弁護士に交渉してもらう

命や身体に対する危険は迫っていない状況で、相手を刺激したくない。報復が怖いという方は、弁護士に加害者と交渉してもらうのも良いでしょう。

警察からの警告で加害者がおとなしく引き下がることもありますが、感情を逆なでして状況を悪化させることもあります。極力穏便に解決を望むのであれば、民間人であり法律の専門家である弁護士に交渉・警告を依頼したほうが良いケースもあります。

警察と弁護士、どちらに対処してもらうべきか迷った場合には、弁護士に状況を説明して判断を仰いでもらいましょう。

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