
- ネットの書き込みも脅迫になるのだろうか…
- 脅迫になるとして、どういった内容の書き込みが脅迫罪に該当するのだろう…
- ネットは匿名だし、書き込み犯人が誰か特定することはできるのだろうか…
- 脅迫罪に該当したとして、そもそもネットの脅迫で警察は動かないのでは…
こういった疑問を抱えていませんか?
この記事では、恐喝・脅迫に強い弁護士がこれらの疑問を解消すべくわかりやすく解説していきます。
全て読むことで、ネットの脅迫的な書き込みの被害者、加害者がどう対処すれば良いのかがわかります。
記事を読んでも問題解決しない場合は気軽に弁護士にご相談ください。
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この記事の目次
ネットのどんな書込みが脅迫罪になる?
脅迫罪とは、相手や相手の親族の、生命・身体・自由・名誉・財産に対し害を加えることを告知(害悪の告知)して人を脅迫することで成立する犯罪です。
そして、ネットに害悪の告知を書き込んだ場合も脅迫罪は成立します。
例えば、ネットの掲示板に「〇〇を殺す」「〇〇の裸の画像を拡散(流出)します」などと書き込めば脅迫罪に該当します。
また、ある書き込みが脅迫罪にあたるかどうかは、書き込みされた人が怖がる必要はなく、一般人が怖がるかどうかで判断されます。
例えば、「〇〇を殴る」と書き込まれた人が、「俺は格闘技やってるから怖くない」と心の内で思ったとしても、一般人からしたら「殴る」と書き込みされれば怖いはずですので脅迫罪が成立することがあります。
ただし、いくら一般人が怖いと感じるとしても、「呪い殺す」「地獄に落とす」といったおよそ人間が実現不可能な内容の投稿をしても脅迫罪は成立しません。
匿名の相手を脅迫する書き込みをした場合は?
例えば掲示板で「〇〇(ハンドルネーム、ユーザーIDなど)を殺す」と書き込まれたとしても、通常はハンドルネーム等からその人が誰であるかわかりません。
そして、誰かわからない相手に害悪の告知をしても脅迫罪は成立しません。
逆に言えば、芸能人や著名人のハンドルネーム等であることが知れているのであれば、害悪の告知の対象が誰であるか特定されているため脅迫罪が成立することもあります。
また、書き込まれた人が芸能人などの有名人でなかったとしても、「どこの誰であるか」がわかる状況であれば脅迫罪が成立することがあります。
例えば、Facebookやtwitterのアカウント名を名指しして「殺すぞ」と書き込まれた場合、そのアカウント名だけでは害悪の告知をされた人がどこの誰かはわかりません。
しかし、そのアカウントのプロフィール欄の情報や画像などから「どこの誰であるか」を特定できる場合(これを「同定可能性がある」と言います)には、脅迫罪が成立することもあります。
なお、「〇〇(ハンドルネーム等)の住所を特定して殺しに行く」といった書き込みについては、一般人からすれば、「どこの誰であるかを調べられて殺されるのでは」と畏怖することが考えられるため脅迫罪が成立する余地はあります。
無差別の殺害予告や爆破予告の場合は?
例えば、「これから小学校に乱入して生徒を殺しまくる」「〇〇駅で爆弾を爆発させる」という無差別殺害・爆破予告をネットの掲示板に書き込んだとします。
このような犯行予告のケースでは加害の対象となる人が広範囲で明確ではありません。
そのため、脅迫罪ではなく、警備をすることとなった警察や対象とされた機関(今回の例でいえば小学校や駅)の正常な業務を妨害したとして、威力業務妨害罪が一般的には適用されます。
ネットは匿名だから脅迫した人が特定できない?
できます。
警察は捜査関係事項照会という制度を利用して、脅迫の書き込みがされたサイトの運営者に任意で書き込みした者のIPアドレスの開示を求めることができます。令状捜査であれば強制的に開示させることも可能です。
IPアドレスが分かれば、上記と同じ手続きでプロバイダに書き込みした者の契約者情報を開示してもらえるので、書き込みした者の氏名や住所を特定することができます。
例えば、令和2年4月に大阪府の吉村知事への殺害予告が掲示板に書き込まれ、警察がプロバイダ等に照会したことで犯人の身元や自宅から投稿されたことが特定されて逮捕されています。
また、一般人であっても、プロバイダ責任制限法という法律に基づいて、発信者情報開示請求という手続きで脅迫の書き込みをした人の身元を調べることができます。
ただし、一般人からの任意開示請求にプロバイダが応じる可能性は低く、仮処分や訴訟といった裁判所を介した専門的な手続きが必要なため弁護士に依頼する人が多いでしょう。
ネットの脅迫で警察は動かない?
令和2年にマスコミ報道されたネット脅迫の逮捕事例として、以下のようなものがあります。
- 漫才コンビ「スーパーマラドーナ」に「殺す」などとtwitterでメッセージを送った会社員の男を脅迫容疑で逮捕。
- アニメ「けものフレンズ」の監督を名指しして、掲示板「5ちゃんねる」に「ナイフでメッタ刺しにして殺す」などと書き込んだ男が脅迫と威力業務妨害で逮捕。
これはあくまでも被害者が有名人であるから報道された一例であって、警察庁の広報資料によると、令和2年の上半期だけでもネット脅迫事案の検挙率は179件もあります。
ネットで脅迫されても警察が動かないといった情報がそれこそネット上で見受けられますが間違いです。
ただし、ネットで脅迫を受けた証拠がない場合や、書き込み内容の悪質性が軽微な場合には警察が動いてくれないこともあります。
書き込みされたページをスクリーンキャプチャすることで証拠は残せますが、悪質性の高低は個人での判断は難しいでしょう。
その場合は、警察のネット犯罪専門組織「サイバー犯罪対策窓口」に連絡し、事件化できるかどうかを相談すると良いでしょう。
被害者が通報しないと警察は動かない?
そんなことはありません。
脅迫罪は親告罪(被害者が刑事告訴しないと起訴できない犯罪)ではないため、被害者以外の第三者が警察に通報したり、偶然警察が投稿を目にして発覚したような場合でも、捜査が開始され逮捕されることもあります。
ただし実務上は、殺害予告等の重大事件を除き、書き込みされた被害者本人による被害届や告訴状の提出がなされないと警察が動くケースは少ないでしょう。
ネットの脅迫で警察が動かない場合の対処法
弁護士に刑事告訴を依頼する
刑事告訴とは、警察や検察に犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることです。
刑事告訴は犯人の刑事処罰まで求める手続きですので、被害届を提出する以上に加害者の逮捕が期待できます。
ただし、告訴を受理した警察には捜査義務等の複数の義務が科せられるため、警察は受理を渋ります。
正直、面倒くさいのが不受理の理由である場合が多いのですが、証拠不十分など別の理由をつけて受理を拒否してくることが多いでしょう。
この点、弁護士は犯罪事実を正確に申告し、受理してもらいやすい告訴状の書き方のポイントを知っています。
また、一般の方よりも弁護士名で告訴状を提出することで受理される率は上がりますので、加害者の処罰を強く望むのであれば、弁護士に刑事告訴を依頼した方が良いでしょう。
加害者の身元を特定し慰謝料請求をする
警察が刑事事件として取り扱ってくれなかった場合でも、ネットで脅迫されたことによって被った精神的苦痛に対する慰謝料請求ができます。
弁護士に依頼すれば、加害者の身元の特定から慰謝料請求の交渉、支払わない場合の民事訴訟まですべて一任することができます。
また、弁護士による刑事告訴を交渉材料とすることで、加害者から支払ってもらう慰謝料の高額化も望めます。
当法律事務所では、ネットに脅迫的な投稿をしてしまった加害者からの相談も多く寄せられています。
「脅迫罪で逮捕される前に被害者に謝罪して早急に示談を締結したいです」と希望する加害者も少なくありません。
加害者と被害者、両者の立場や考えがわかるからこそ弊所では最善の解決方法を提案できます。
親身誠実に弁護士が対応しますので、まずはお気軽にご相談ください。
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