ネットの書き込みで脅迫罪になる?警察は動かない?弁護士が回答

ネット上で脅迫してきた人を警察に逮捕してもらって刑務所送りにしたい。

顔も身元もわからないことを利用して自分を脅してくる卑怯な相手にそのような考えを抱くのは自然なことです。

しかし、次のような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

  • 「どのような書込みであれば脅迫罪が成立するの?」
  • 「どんな方法で犯人の身元を突き止めるの?」
  • 「ネットで脅迫して逮捕された事例はある?」
  • 「警察は動かない?」

そこでここでは、これらの疑問を解消できるよう弁護士がわかりやすく解説していきます

法律に詳しくなくても7分ほどで読めるようになっています。

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ネットでの書き込みは脅迫罪になる?

脅迫罪とは、ある人やその人の親族の、生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加えることを告知して脅すことです(刑法222条)。2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。

脅迫文言は、対面・手紙・電話・メール、どの手段によって伝えられても相手にしてみれば怖いことに変わりありません。それは、ネットの書き込みであっても同様です。

そのため、殺してやる(生命)、殴るぞ(身体)、監禁してやる(自由)、知られたくない事実を皆に拡散するぞ(名誉)、車を破壊してやる(財産)。こういった書き込みをすれば脅迫罪になり得ます。

また、掲示板等への書き込みは必ずしも被害者がそれを目にするとは限りませんが、人伝に書き込みの存在を知ることもある以上、書き込みした時点で脅迫罪が成立します。

ネットでの脅迫で他の犯罪が成立することも

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪とは、威力(人の意思を制圧する勢力)を用いて人の業務を妨害することで成立する犯罪です。

例えば、ある人が、「明日、とある小学校にサバイバルナイフを持参して潜り込み、生徒をメッタ刺しにします」という殺害予告をネットの掲示板に書き込んだとします。

このような殺害予告や犯行予告のケースでは加害対象者が広範囲で明確ではありません

そのため、脅迫罪ではなく、警備をすることとなった警察や対象とされた機関(今回の例でいえば小学校)の正常な業務を妨害したとして、威力業務妨害罪(刑法233条、234条)が適用されるのが一般的です。

なお、威力業務妨害罪だけでなく脅迫罪も同時に適用される場合もありますが、この場合は、1つの行為(書き込み)で2つ以上の罪名に触れるケース(これを観念的競合といいます)として重い方の罪で処罰されます。

脅迫罪が2年以下の懲役または30万円以下の罰金であるのに対し、威力業務妨害罪は3年以下の懲役または50万円以下の罰金ですので、より重罪である威力業務妨害罪の刑が科されます。

インターネット上の掲示板に「11日にJR新宿駅で通り魔を起こす」と書き込んだとして、警視庁捜査1課などは12日までに、横浜市に住む中学3年の男子生徒(15)を威力業務妨害容疑で逮捕した。同課によると、男子生徒は容疑を認め「どれぐらい騒ぐか見てみたかった」と話している。

名誉棄損罪

名誉棄損罪とは、公然(不特定多数または多数の人が知ることができる状態)と事実を適示して人の社会的評価を低下させることで成立する犯罪です。3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金刑となります。

例えばある人が、「〇〇さんは風俗嬢で、お金を貰えば誰とでも寝るアバズレ女です。こういう女は社会から抹殺すべきですので私が処刑します」とネットに書き込めば、名誉棄損にも脅迫にもなり得ます。

威力業務妨害罪のケースと同様に、1つの書き込みで2つの罪名に触れているため、重い罪である名誉棄損罪の刑で処罰されます

また、別のパターンとして、脅迫罪と名誉棄損罪が別々に成立することもあります

先ほどの例で、「〇〇さんの職業をここ(ネットの掲示板やブログ、SNSなど)で晒しちゃおうかな~」と投稿すれば、人の名誉を害することを告げているため脅迫罪が成立します。

そして、その後に本当に〇〇さんが風俗嬢であることを投稿すれば、〇〇さんの社会的評価を低下させたと考えられるため名誉棄損罪が成立します。

この場合は、重い罪である名誉棄損罪の刑の長期である3年に、その長期の2分の1の刑(3年÷2=1.5年)を足したものが長期となるため、4.5年以下の懲役刑となります(これを併合罪といいます)。

お笑いタレント、スマイリーキクチ(37)のブログに、本人が過去の殺人事件の犯人であるかのような中傷や脅迫文が数百件書き込まれる事件があり、警視庁中野署は5日までに、17~45歳の男女計18人を名誉棄損の疑いで書類送検する方針を決めた。また、脅迫容疑で川崎市の会社員の女(29)を書類送検した。

犯人が特定されて逮捕されるまでの流れ

被害届や告訴状を警察が受理して動いてくれる場合、次のような流れで犯人の身元を調べ、逮捕に至ります。

  1. 掲示板やSNS等のサイト運営者に警察が捜査関係事項照会書を送付。
  2. サイト運営者が犯人のIPアドレス(ネット上の住所のようなもの)を警察に開示。
  3. IPアドレスから犯人が契約しているプロバイダ(OCNやso-net、@nifty等)を調べる。
  4. プロバイダに警察が捜査関係事項照会書を送付。
  5. プロバイダが犯人の契約者情報(氏名・住所等)を警察に開示する。
  6. 警察が裁判所に逮捕状の請求をし、発行してもらったら逮捕に向かう。

捜査関係事項照会とは、刑事訴訟法条第197条2項の「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」という規定を根拠に、捜査に必要な情報の開示を求める制度です。

なお、この捜査関係事項照会は、強制力はありません。サイト運営者もプロバイダも、犯人のIPアドレスや個人情報を開示する義務はありません。

しかし、開示しないでいる間にネットに書き込まれた殺害予告が実行されてしまうなどの被害が生じた場合、犯罪の幇助(手助け)として罰せられる怖れもあるため、任意で開示に応じるのが一般的です。

ネットでの脅迫事例

ここでは、マスコミ報道された、ネットでの脅迫事例を3つ紹介します。

豊見城署は8日、インターネット上で20代女性に対し「絶対に殺す」などと殺害をほのめかす投稿をしたとして、脅迫容疑で兵庫県神戸市の大学生の男(34)を逮捕した。「逆恨みからやった」などと容疑を認めている。容疑は、6月にツイッター上に殺害をほのめかすメッセージを投稿し、脅迫した疑い。

SNS上で税務署職員を脅したとして、埼玉県の川口署は20日、脅迫の疑いで、川口市伊刈、塗装業の男(30)を逮捕した。

逮捕容疑は7月25日、自身が使用する短文投稿サイト「ツイッター」に「こいつやっぱ殺すか」などと投稿し、西川口税務署の20代男性職員を脅迫した疑い。

小説やコラムなどの執筆で知られるセクシー女優の紗倉(さくら)まなさんに対し、ツイッター上で「殺すぞ」などと脅迫したとして、警視庁が脅迫容疑で無職の男を逮捕していたことが12日、捜査関係者への取材で分かった。

ネットで脅迫された時の警察の相談窓口

ネットに脅迫の書き込みがされた場合、IPアドレスを偽装したり、何重にも海外のサーバーを経由させるなど、身元の特定をされないよう策を講じている犯人も少なくありません。

そのため、ネット上で行われた犯罪の犯人特定には、警察においても高度な知識が求められます

警察署に出向いても、ネット犯罪に詳しい担当警察官がいなければ、せっかく相談しても徒労に終わってしまうこともあります。

そこで、警察に相談する場合は、各都道府県警察本部に設置されているサイバー犯罪相談窓口にまずは電話しましょう。

参考:各都道府県のサイバー犯罪相談窓口一覧

ネットワークやネット犯罪についての専門的知識を備えた警察官が担当してくれるため、その後の対応もスムーズに行ってくれます。

相談時に持参する物と注意点

警察署に出向いて相談する段階になったら、脅迫文言が書き込まれた掲示板やブログ、SNSの投稿等の画面をプリントアウトするか、スクリーンショットで保存して持参しましょう(URLもわかるようにしてください)。

また、スクリーンショットの画像は、USBメモリ等のメディアに入れて持参してはいけません

ウイルス感染によるデータ漏洩等のリスクを避けるために、外部から持ち込まれた記録媒体を警察署のPCに繋ぐことはできないからです。

データについては、ご自身の携帯端末やノートPCに入れて持参する必要がある点に注意してください。

ネットでの脅迫は警察は動かない?

「ネット上での脅迫では警察は動かない」

そのよう考えている人が少なからずいるようですが実際のところ、ネットでの脅迫罪での検挙件数はどのようになっているのでしょうか。

以下の画像で示す通り、警察庁の広報資料によると、ネットでの脅迫による検挙率は平成30年度では3.8%です。一見すると少ないように見えますが、ネット犯罪の検挙数が合計8127件(不正アクセス禁止法違反と不正指令電磁的記録に関する罪を除いた数 )と多いためそのように思えるだけで、件数にすると310件にもなります

警察庁の広報資料内の、平成30年度ネット犯罪検挙数の円グラフ

とはいえ、ネットで脅迫されたからといってそう易々と警察が被害届を受理してくれるかと言えば話は異なります

憲法で保障された「表現の自由」の範囲内と解釈されたり、刑事事件の要件を満たさないために民事不介入と扱われることもあるからです。

先ほど紹介した、ネットの脅迫事例をもう一度確認してみましょう。警察が逮捕に動いたのは人の生命や身体に危害を加える具体的な書き込みをしたケースであることに気付くはずです。

そのほかにも、タレントのアグネス・チャンがネットに脅迫的文言を書き込まれて警察に相談に行ったが動いてくれず、殺害予告の書き込みをされて初めて捜査・逮捕に踏み切った事件もありました。

参考:アグネス・チャンさんに殺害予告 「アグネス御殿は血まみれに」 脅迫容疑で捜査・警視庁

犯人と被害者との関係性、書き込みされた回数などによって異なりますので一概には言えませんが、命の危険があるなど、よほど緊迫した状況でなければ警察が動いてくれない可能性があることも認識しておきましょう。

警察が動いてくれない時の対処法

ネットでの脅迫被害にあっても、警察が被害届や告訴状を受理してくれない、つまりは動いてくれないケースが多いことは既にお伝えしました。

とはいえ、この現状を指をくわえて眺めているわけにはいかないでしょう。どのように対処すれば良いのでしょうか?

弁護士に告訴状を作成してもらい改めて提出

告訴状とは、刑事告訴する時に警察に提出する書面です。

刑事告訴とは、警察や検察に犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示です。

告訴状を受理すると、警察は捜査義務等の義務が複数科せられるためなかなか受理してくれませんが、弁護士は受理してもらいやすい書き方のポイントを知っています

また、被害者に同行して警察に行き、当該被害の法的な問題点を法律家の立場から警察に説明することもできます

それにより警察が動いてくれることになれば、犯人は逮捕され、刑事裁判にかけられるという形で責任を取らせることも可能となります。

犯人の身元を特定し損害賠償請求

刑事事件に持ち込めなかったとしても、民事事件として損害賠償請求をすることができます。脅迫のケースでは、”精神的損害”に対する賠償が問題になりますので、慰謝料請求をすることになります。

しかし、犯人の氏名や住所がわからないと慰謝料を求める内容証明郵便の送付や、訴訟の提起が行えません

そこでまずは、プロバイダ責任制限法という法律に基づいて、発信者情報開示請求という手続きで犯人の身元を調べて行くこととなります。

流れとしては警察が開示請求する場合と同じで、捜査関係事項照会書の代わりに発信者情報開示請求書という書面を送るものとここでは理解してください。

  1. 掲示板やSNS等のサイト運営者に発信者情報開示請求書を送付。
  2. サイト運営者が犯人のIPアドレス(ネット上の住所のようなもの)を開示。
  3. IPアドレスから犯人が契約しているプロバイダ(OCNやso-net、@nifty等)を調べる。
  4. プロバイダ(ISP)に発信者情報開示請求書を送付。
  5. プロバイダが犯人の契約者情報(氏名・住所等)を開示する。
  6. 判明した住所に内容証明郵便の送付または訴訟手続きにて慰謝料請求

ただし、警察による開示請求と比べて、一般人からの開示請求に応じてくれる割合は低いため、仮処分の申し立てや訴訟といった手続きを踏まなくてはならないケースもあります。

その場合、開示手続き開始から犯人の身元特定まで約半年と長期に及び、仮処分や訴訟手続きも専門的知識が必要なため、弁護士に委任する人が多いのが実状です。

弁護士に交渉してもらう

刑事告訴や損害賠償請求といったアクションを起こすことで、犯人を刺激して逆恨みされたくないと考える方もいることでしょう。

その場合は、ネットで脅迫の書き込みをした者の身元を割り出し、今後二度と脅迫をしない旨の約束を取り付ける等の交渉をすることもできます。

弁護士は刑事告訴や民事訴訟の代理ができる権限を国から与えられています。

そのため、脅迫行為をしない旨の取り決めに応じないのであれば、すぐさま刑事・民事において法的責任追及すると警告を与えることができます。

弁護士が交渉することでほとんどのケースで加害行為は止みますので、極力穏便に解決を図りたいかたは弁護士に相談することをお勧めします

当法律事務所では、犯人の身元特定や損害賠償請求訴訟のほか、ネット誹謗中傷や脅迫被害を穏便に解決することも得意としております。

親身誠実に被害者を全力で守る法律事務所ですので、どうぞお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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