
かなり前の脅迫事件だけど、あれってもう時効なのかな…
たしか、時効には刑事事件と民事事件の時効の2種類があったはずだけど、刑事と民事って区別もよくわからない…
そう悩まれている方もいるのではないでしょうか。
そこでここでは、
- ①脅迫罪の刑事事件の時効
- ②脅迫罪の民事事件の時効
につき、脅迫に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
記事を読んでも解決しない場合は気軽に弁護士にご相談ください。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|
脅迫罪の刑事事件の時効
脅迫罪の公訴時効は3年で完成します。
公訴時効とは、犯罪が終了してから一定期間が経過すると検察官が起訴(公訴の提起)できる権限がなくなる刑事事件の時効のことです。
よく刑事ドラマで、犯人が時効直前で逮捕されるシーンがありますが、それがまさに公訴時効のことです。
公訴時効については刑事訴訟法第250条に規定されていますが、犯罪の重大さ(刑罰の重さ)によってその期間が変わります。
例えば、恐喝罪は7年、強制性交等罪(旧強姦罪)は10年、殺人罪は25年で時効が完成します。
なお、公訴時効が開始される日(起算点といいます)は、犯罪行為が終了したときです。
脅迫罪でいえば、最後に脅された日が起算点となり、3年経過すれば時効が完成します。
公訴時効が停止するケース
公訴時効が停止するのは以下の3つのケースです。
- ①犯人が起訴された時
- ②犯人が国外にいる場合
- ③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達ができない場合
①犯人が起訴された時
脅迫犯が起訴されればその時点から公訴時効は停止します。
なお、脅迫行為が複数人で行われた場合、そのうちの一人が逮捕され起訴されれば、その起訴された犯人の刑事裁判が確定するまでは共犯者の時効も停止します。
②犯人が国外にいる場合
脅迫の加害者が海外に行ってしまった場合は、海外にいる期間は時効が停止し、日本に帰国することで時効の停止が解除されて時効の進行が開始されます。
③犯人が逃げ隠れしていて起訴状の送達ができない場合
犯人が捜査機関に捕まらないよう居住地を転々とするなどしている場合も公訴時効は停止します。
しかし、犯人が逃げ隠れしているために起訴状謄本の送達ができないことを証明するのは検察官です。
しかもそれを証明する資料を検察官が裁判所に提出することも求められるため、実質上、国内逃亡の場合に公訴時効を停止させることは困難とされています。
脅迫罪の民事事件の時効
民事事件の時効とは、加害者に損害賠償請求(民法709条・710条)が可能な期間のことです。
刑事事件の時効は「公訴時効」という名前でしたが、民事事件では「消滅時効」といいます。
損害賠償は大きく分けると、財産的損害と精神的損害に分かれます。
例えば、器物損壊罪のケースでは、壊された物の価値相当分が財産的損害になるでしょう。
一方、脅迫罪のケースでは、基本的には財産的な損害は生じないものの、脅されて恐怖を感じることで心の傷が生じるなどの精神的損害が生じます。
この精神的損害を金銭に換算したものがいわゆる「慰謝料」となります。
≫脅迫の慰謝料相場はいくら?示談交渉による慰謝料額の事例も紹介
この慰謝料請求権は、損害および加害者が誰かを知ったときから時効が進行し、3年で時効をむかえます(民法724条)。
また、不法行為の時から20年経ったときも時効となります(これを除斥期間といいます)。
例えば、ある人が、身元不明の人物から脅迫電話の被害を受けたとします。
その人物が誰かわからないまま5年の歳月が過ぎてやっと身元が判明した場合、その判明した時点から民事の時効が開始されるのです。
ただし、脅迫被害を受けてから20年以上経過してから犯人が判明しても、除斥期間により損害賠償請求はできません。
まとめ
刑事事件の時効も、民事事件の時効も原則的には3年で完成してしまうことをお伝えしました。
ただし、刑事事件の時効は停止することもありますし、民事事件の時効も犯人が誰かわかってから進行が開始されるので、「3年経てばなかったことに」とならないこともあります。
年月が経過した過去の脅迫事案でお困りの方は、脅迫罪に強い弁護士が親身誠実に対応しますので、当法律事務所までお気軽にご相談ください。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|